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"都市があった、都市があった、天と地の繋ぎ目、■■・カラの野原"と。
第7特異点第8節「ウルク北壁」で、前節で手に入れた天命の粘土板を読むためにギルガメッシュ王が教えてくれる呪文だけど、これシュメール語だよね……。
そのものずばりの出典があるんだろうか? よくわからないので、ひとつひとつ見ていこう。
# ウル・ナナム
ウルといえばシュメール南方の都市……ではなくて、ここでは都市を意味する語と思われる。地名としてのウル (opens new window)以外にもウルって読めるシュメールの言葉はけっこうたくさんあって、 風 (opens new window),魚 (opens new window)、洪水 (opens new window)、守備 (opens new window)、敷き藁 (opens new window)、席 (opens new window)、種まき (opens new window)、補助 (opens new window)、近隣 (opens new window)……といろいろあるんだけど、ここでは「都市があった」という意味からしても都市 (opens new window)があっていそう。
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これは都市という意味の言葉の綴りの一覧だけど、この通りイリとも読まれる。んーでイリ・ナナムだとすると……じゃじゃーん。
「エンリルとニンリル」という神話の冒頭に、こんな一節があるのです。[1]
エンリルとニンリル
1. iriki na-nam iriki na-nam na-an-dúr-ru-ne-en-dè-en 都市があった。都市があった。これが私たちの住むところ。 2. nibruki iriki na-nam na-an-dúr-ru-ne-en-dè-en ニップル市なる都市があった。これが私たちの住むところ。 3. dur-ŋišŋišnimbarki iriki na-nam na-an-dúr-ru-ne-en-dè-en ドゥルギシュニムバル市なる都市があった。これが私たちの住むところ。
最初の行はイリ・ナナム、イリ・ナナム、ナンドゥルネンデンと読む。そう、「都市があった、都市があった」ですよ! ギルガメッシュの呪文は、少なくともその一部はここから取られているといっていいんじゃないかな。このあたりの訳し方についてはいろいろ調べたので別の記事にまとめました。
原文はETCSLにある。上の訳はETCSLの英訳をもとにしたもの。岡田明子、小林登志子、『シュメル神話の世界 粘土に刻まれた世界最古のロマン』中公新書にあらすじと抄訳があって、そこでは「都市があった、我々が住む都市があった」という訳し方になっている。
# ドゥルアンキ
こっちはかんたん! ドゥル (opens new window)はシュメール語で結び目、絆、臍の緒を指す言葉で、アン (opens new window)は天、キ (opens new window)は地を意味する。だからまさに直訳して「天と地の繋ぎ目」ってなる。
# ギル・エディン
これがよくわからない……。