新しいブログに引っ越しました。あと図書館も開設。

賢明なる読者諸姉諸兄、並びにそれほど賢明ではないけども気のいいメソポタミア趣味の仲間である諸君、久闊を叙す。

というわけでこんにちは、ゆーです。

このブログはもともとVuePressという仕組みを使って構築していたのですが、こいつがVue2というちょいと古めの技術を使っているため、最近のライブラリやツールとの相性が悪くなってきました。昨年新しいPCを買いまして一通り環境を引っ越したつもりでいたものの、新しい記事を追加してブログをビルドしようとしたら、依存関係の解決に失敗したりよくわからないエラーが出たり、どうにもうまくいかなくなってしまったのです。

そこで思い切って新しい仕組みに引っ越すことにしました。

といってもこのブログの見た目や機能には満足していましたので、VitePressというVue3ベースの新しい仕組みに乗り換えたうえで、できるだけ以前の見た目を再現するようにしました。URLも変わっていません。

とはいうものの、これでブログの更新頻度が上がるのかというと、それはまた別の話であります。今後もぼちぼちアウトプットしたい情報があれば、ここに書き綴っていきたいと思います。

いちおう今回の更新の目玉としては、図書館セクションを新設したことが挙げられます。ここには古代メソポタミア関係の文献を置いていく予定です。

今回用意したのはジョージ・スミスによる「アッシリア発掘録」およびエドワード・ヒンクスによる「アッシリアの神話にて」の2冊です。いずれも19世紀に発行されたパブリックドメインの文献です。ついでに以前に翻訳したジョージ・スミスの「カルデアの洪水伝説」もここに収録することにしました。

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フォックスヴォグのシュメール語文法入門3

フォクスヴォグ先生のシュメール語入門、その私訳第三段ができたので公開します。

今回はコピュラと副詞に関する3つのレッスンを訳出しました。これでようやく、シュメール語の文(の一部)が読めるようになるわけです。

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エディン・シュグラの原典への旅

#エディン・シュグラ、イシュタルの王冠

2024年8月、スマートフォン向けゲームFate/Grand Order(以下FGO)にスペースエレシュキガルというキャラクターが実装された。FGOのエレシュキガルはその名の通りシュメール神話の冥界の女神エレシュキガルに着想を得た人気キャラクターで、スペースエレシュキガルは長年待ち望まれたその派生キャラクターである。

スペースエレシュキガルの宝具(詳しくない向きは必殺技のようなものと思ってよい)の終局宇宙に閃く獣冠エディン・シュグラ・コラプサー という。この複雑な名前のうちエディン・シュグラの部分はシュメール語に由来するが、シュメール神話に親しいひとでもエディン・シュグラときいてあああれかとはなかなかならないであろう。これはイナンナの冥界下りに登場する女神イナンナの七つの神宝メーのひとつに由来する。尾崎亨訳[1]でいえば「ステップの王冠シュガルラ」だ。対応する原文の翻字はtug₂šu-gur-ra men edin-naで、ePSD2によればedenは"plain, steppe, open country"を、šuguraはturbanを意味する。FGOではこの宝冠が女神イシュタルの権能の象徴として扱われていて、すでに登場済みのイシュタルからの派生キャラクター、スペースイシュタルの宝具 原始宇宙に輝く王冠エディン・シュグラ・クエーサー にも見えるほか、派生元のイシュタルやエレシュキガルもそれぞれ「輝ける大王冠」「秘められた大王冠」という名前のスキルを持っている。

エレシュキガルの宝具にイナンナの王冠の名があるのは、イナンナの冥界下りでエレシュキガルがイナンナから七つの神宝を取り上げたことに由来しているらしい[2]。そういえばあれは返していないのか。なるほど。

  1. [シュメール神話集成][(https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480097002/) 杉 勇 訳 , 尾崎 亨 訳

  2. Fate/Grand Order Material VIのエレシュキガルの項にそのような記載がある。

#原典を探す旅

#原文の行番号を探す

さて。そのエディン・シュグラの原典を探したいのである。楔形文字でその名が綴られた粘土板をみてみたいのだ。

つまりイナンナの冥界下りが書かれた粘土板を探してその中のエディン・シュグラにあたる文字を見つけるということになる。

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楔形文字入力補助具カントゥッピの紹介

ロゴ

楔形文字入力補助具 GI-DUB[qantuppi] (https://qantuppi.kurnugia.com)を紹介します。

qantuppi を最初にリリースしたのが 2018 年で、今年は 2024 年です。使い方の説明とかまったく書かずにこれまできてしまいましたが、そろそろ説明したいことも増えてきました。

#なんて読むの?

GI-DUB は 𒄀𒁾 のシュメール語読み、qantuppi はアッカド語読みです。意味はどちらも書記が粘土版に楔形文字を書き記すのに使う葦筆スタイラスのことです。筆者はふだんカントゥッピと呼んでいます。

Gidubak on ePSD

#どうやって使うの?

入力欄に楔形文字の翻字(アルファベット表記)を入力してください。変換候補が出て来ますので、選択してください。š の文字も s で入力して検索できます。

入力欄

下の方に楔形文字のフォントを選択するボタンがあります。シュメール、古バビロニア 2 種、新アッシリア 2 種、ヒッタイトの 7 種類から選択することができます。楔形文字は同じ文字でも時代や地域によって大きく形を変えているため、それぞれの時代や地域の字形を表現するフォントがつくられているのです。[^sylvie]

フォント選択

入力欄とフォント選択の間に、文字の詳細情報を表示する欄があります。

文字の詳細

ここではその文字が Labat[^labat]や MesZL[^MesZL]の字書での何番の文字にあたるか、他にどんな読み方があるかを表示しています。この例ではラバの字書では 85 番の文字で、2 つ目の 77 ページ[^77]に記載されていることを表しています。ラバの字書に立項されている文字については archive.org を参照して直接そのページへのリンクを表示しています。[^labat2]

alt text

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フォックスヴォグのシュメール語文法入門2

昨年末に、フォックスヴォグ先生のシュメール語文法入門を一部翻訳したものを公開した。 その節はたくさんダウンロードいただきましてありがとうございました。

この成功に気を良くした私は、さらなる蛮勇をふるって続きの翻訳に乗り出したのだった。

原著にある 19 のレッスンのうち、前回は最初の 3 つ「書記法 The sumerian writing system」「音韻論 phonology」「名詞と形容詞 noun and adjective」を収録していたので、今回は続きの 3 つ「名詞連鎖 nominal chain」「代名詞と指示詞 pronouns and demonstrives」「名詞修飾格:属格と様格 the adonominal cases: genitive and equative」を訳出した。

まだまだ先は長いのだけど、これで名詞に関わるレッスンまで終えることができた。さらに今回、hinoyaさんというはちゃめちゃに強力な味方を得て Vol.1 も含め全面的に翻訳の見直しをすることができた。

Vol1,Vol2 ともにここで公開するので、前回のをダウンロードしていただいた方もあらためて入手してほしい。前回のファイルはすぐにゴミ箱にいれてください。

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